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◆第4回 りヴとぅぎゃざー

りヴとぅぎゃざー
【タイトル】
りヴとぅぎゃざー
【開発環境】
RPGツクール2003
【作者】
ウィルヴィル
【作品公開ページ】
こちら→

ロールプレイングアクションRPGサウンドノベル
アクションシミュレーションパズル・テーブル
シューティングレース・スポーツその他
【作品紹介】
概要:ダンジョン攻略要素を少し含んだ短編RPGです。ハイテンポで展開する戦闘が特徴です。
物語:天界の二人の人間が、地上に降り人間と魔物の戦いを終わらせるという、王道なストーリーです。
楽しんでもらいたい所:ストーリーを追うのも勿論ですが、それ以外にも戦闘・ダンジョン攻略・アイテム探索・ギャグなどもお楽しみください。
(作者)

【レビュー】

風見鳥

ゲームを作る上で、禁忌と思えることが一つあります。それは、作者がゲーム内もしくは自己製作のマニュアルなどで、 「手抜きである」ということを明記することです。手抜きとは、努力すればまだ向上できる部分があったにもかかわらず、 妥協したということです。本気を出さなかったということです。魂を込めなかったということです。

アマチュアが何をどう作ろうが作者の自由である、という考え方もありますが、手抜きを明記することは、プレイヤーという客に 「これはまずい料理です」と言って料理を出すのと同じ事です。せっかくゲームをプレイしていただくプレイヤーの方々にも失礼ですし、 ゲームの良い要素をも巻き込んで殺してしまいます。やむなく妥協した部分があったとしても、 それを明記することは本来避けるべきところです。これがこのゲーム最大の改善点です。

率直な感想だと、このゲームは非常にもったいないゲームだと思いました。 その理由の一つは、上に述べたことです。もう一つは、オープニング(プロローグ)です。

オープニングは、プレイヤーを惹き込むための重要な要素です。ゲーム全体の目的や世界観、 キャラクター把握や雰囲気などがオープニングでかなり解放されます。そして何より、 みなさんもご存知のとおりオープニングが面白くないとそこでゲームをやめられてしまう可能性が非常に高い。 多量にリリースされているアマチュアツクールゲームならなおのことです。逆に、オープニングさえ面白ければ、 後が多少崩れても、システム周りやストーリーの盛り上がりなどでなんとかプレイヤーを繋ぎとめることができます。 このゲームは、システムもなかなかですし、後半の盛り上がりも自然な流れで作ってあります。 しかし、オープニングに魅力が無いので、それらが台無しになってしまう可能性があります。どう魅力がないかを検証してみましょう。

1.雰囲気

タイトル画面に「りヴとぅぎゃざー」。タイトルがこのような感じだと、少し稚拙に見えます。そんなところまで気にせねばならないか、 と言われそうですが、悲しいかなこれは何百とリリースされているツクール2000ゲーム。 タイトル画面を見てフォルダごとゴミ箱に捨てられてしまう可能性も、否定できない世界なのです。 タイトルの意味自体はストーリーを捉えていますし、ゲームネームが英語になっているので、 タイトルも英語のみで固めるか、せめてカタカナにしてはどうかな、と思いました。

ゲーム開始後、あらすじが流れて神様らしき人との会話となりますが、 言いたいことはかなり重みのあることなのに口調が軽々しく、顔グラフィックもNoImageとあって、 今後の展開からすると雰囲気を崩す要因になっているように感じます。

2.プレイヤーへの配慮

プロローグのテロップはいくらなんでも速すぎます。エピローグがあれだけゆったりと流していたならば、 プロローグはせめてもう少しゆっくりと流すべきかと思います。さらに内容はかなり説明的ですが、 物語の背景となる重要な部分であり、もう少し一枚絵やイベントを使うことによってゆっくりとプレイヤーに理解してもらったほうが 良かったかもしれません。ここをいい加減にして物語をはじめると、なにやら目的がもやもやしたまま何気なく冒険することになり、 勢いを失ってしまうことにつながりかねません。

3.グラフィック素材等の統一性

これはオープニングだけでなく、全体を通していえることですが、いろいろなところの素材を多用することは危険を伴います。 それぞれのクオリティが高ければ良い、ということではありません。素材は作者それぞれに、色使いや癖などがあり、 ある素材は別の素材と合わない可能性があります。そういうものを同じ場面においたとき、 何か重苦しい中に突如軽い雰囲気の絵が出現した、といったような、いわゆる素材っぽさが感じられてしまいます。 RTPで間に合わない部分が出てきたので、素材を使う、というのではなく、 雰囲気や統一性を崩さないような素材を選ぶことも作者の技量です。これはグラフィックだけではなくて、音楽素材にも言えることですね。

大体このようなところです。簡単に言えばもっと導入を大切に作ると作者にとってもプレイヤーにとっても良いということです。

さて、無事にオープニングを抜けると、一風変わった戦闘システムが待ち受けています。 行動ゲージ制で、ダメージ及び回復がカウントダウン方式の戦闘です。当然メリットとデメリットがあります。考察します。

■メリット
  • 駆け引きがスリリング。ダメージ減少中に回復できれば、致命的なダメージでも助かるので素早い操作が要求される。
  • ゲージ制なので素早いキャラは多く行動できる
  • パーティのHPやステータス異常が常に確認できる
■デメリット
  • ゲージ制なので、どうしても待ち時間が発生してしまう(テンポが悪い)
  • 強力な攻撃を受けても回復アイテムさえ使えばなんとかなるので、ごり押しになりがちである
  • こちらの行動ゲージは見えるが、相手の行動ゲージが見えないので戦略が立てにくい

行動ゲージ制バトルはテンポがいいように思われがちですが、RPGツクール2000のデフォルトの戦闘方式に比べると、 どうしても待ち時間のせいで、戦闘時間的には長くなってしまいます。今回の作品ではゲージの増え方もかなり速く、 全体的な行動モーションも短めであったので、それがストレスとなることはありませんでした。

しかしながら、レベルの上がりやすさ、致命的なダメージを凌げる回復アイテムがかなり簡単に多く手に入る、 技も消費が少ない物が多く、リミットブレイクが強力である割にはかなり頻繁に発動できる、 ということ等から力押しをするシーンが多くなりました。戦闘では大ダメージを受けたときの駆け引きがスリリングではありましたが、 それを得るために敵、とりわけボスの攻撃力はかなり高めとなり、大ダメージを受けては回復、あとは攻め、 のやや単調で戦略性の無いリズムが生まれてしまいます。敵のHPと行動ゲージが見えないことから、 さらにこちらの戦略はとりにくいものとなり、また、1人でも戦闘不能(死亡)であればゲームオーバーということで、 極力回復に手を回すことになります。まとめると、戦略性を犠牲にして、リアルタイムの駆け引きを活かした という感じがありました。

戦略性をさらに取り入れることは、忙しい戦闘の中では少し難しいかもしれませんが、まず技や敵の特性をもっとはっきりとつけたり、 装備の種類を充実させることが対策として挙げられると思います。短編ということで、 レベルと能力値が上がりやすくなっていたかもしれませんが、最初は非常に辛いものがあり、 後半はかなり楽になってしまったので、敵や味方のステータスを大雑把ではなくもっと繊細に設定すれば、 より楽しめるものになったかもしれません。

他に気になった部分をいくつか。

キャンセルキーによるはめ込み式のメニューコマンドは、普通のメニューに慣れている私にとっては意外と面倒に感じられました。 ツクールXP等では別のキーに設定、もしくはメニューに組み込むことができますね。

エンターキーでダッシュすることを考慮したのか、接触で開始されるオブジェクトが多かったように思います。 しかし、宝箱などは触れた瞬間に(いつもの癖で反射的に)決定キーを押してしまったため、 何を入手したかわからなかったことが多々ありました。

各所に、救済策と見受けられるスイッチやキャラクターがありましたが、これはやはり無くすか、 うまくプレイヤーを誘導できるヒント等にするのが良いかもしれません。明らかに後悔するという文句付きでは、 ストレスがたまるのに押せないといったわだかまりが生じかねません。前々回のミーアのグルメ冒険記では、 謎解きの好きなほうを選択させるという方式でした。このような手もありますね。

最後にエンディングですが、二つのエンディングを用意した割には、ほとんど変化がなく、 あまりしっくりこない感じがありました。終わり良ければ全て良しとも言いますが、 真のエンディングなどと名をうつからには、もっとダイナミックに展開させても良いと感じました。

この作品を総合的に見ると、ツクールの枠にとらわれず、市販のゲームで不朽の名作と呼ばれるようなものをプレイして、 良いところを吸収すれば今後の展開に大いに役立つのではないかと感じました。頑張ってください。


川ノ道

次回作のための練習作品ということであったが……おや?わりとできてるじゃないか。練習作品という紹介文がついていたため もっとひどいものを想像していました。しかしここまで作ったのなら、練習作品とは言え本気で作りこんで欲しかったという感がありました。 概ねの枠組みはできていたのでしょうからそこからは恐らく詰めの段階、NoImageだった顔グラフィックを補完したり、 キャラクターの性格調整、戦闘バランス調整などなどといったことをすることになるのでしょうか。 当然まだまだストーリーも練りこめる余地はあるでしょう。次回作の展望まであるというなら今回の作品では 主人公達を送り込む以外は沈黙を保った天界の動向などといったことも色々と考えれるでしょう。 とても広がりができる可能性があるところまで来ていると思いますのでそこの詰めをやらずに止めたことを少々残念に思います。 また、これは一体何のための練習だったのでしょうか。次回作のため、とあるが実際にプレイしてみると色々と突っ込みどころはあるものの 物語の冒頭からエンディングまでは作られてはいるし、最後の製作者の部屋での会話をみるとキャラクター設定やなんと2や3のみならず4などの 展望まであるという。これは次回作の何のために作った練習作品なのかをぜひ知りたいところです。

ではプレイしての一つ一つの感想を。

まず物語、ストーリー:
○ あれ?天界は?

最初は天界に攻め込まれる前に魔物を滅ぼしてしまおうという流れだ。しかし途中から最後に行くと何故争うのかという命題を取り出し 人類と魔物は仲良くなれないのかという話になっていきなんていうか天界の事情はそっちのけ。 途中から人類と天界人の区別さえどうでもよくなっているような印象を受けた。 個人的に思うところでは天界が人類と魔物の両方を攻め滅ぼしに来てもよいとさえ思える。 また、まったくの別世界である天界があるのですからもっと天界人としてのノリとかが最後まで出して欲しかったと言う希望もあります。

○ 固有名詞に対する情報のタイミング

冒頭で物語の核になると思ってしまった、おっこちた間抜けな天界人。こいつが死んだ、と確実にでてくるのが製作者の部屋であるというのは ちょっと遅すぎないかと思ったり、また物語の最初から固有名詞が多く、説明がその場ではされないものが多いので 非常になんだこりゃと面食らったりもした。こういったファンタジーではどうしてもその物語独特の固有名詞が多くでるものだが それについての情報をプレイヤーに与えるタイミングというのも一つ考慮してもらえば幸いである。 同様にストーリー上ででてくる情報、例えば言葉を教えた人の生死なんかの情報といったものがしっかりと伝わるとよいと思います。

戦闘:
○ 正直楽

この辺りは個人の好みといったものもでてくると思うがややバッドステータスの影響が大きすぎ、アクセサリーの効果も高すぎ、 そして成長率も高い印象を受けた。テンポを進めるにせよもう少し効果を緩めてもよいかとも思う。 例えば、50%の確率でかばう+カウンターにヒールリングなどとすると基本的にはほぼ無敵になる。 戦闘とは別であるが時間(歩数?)で敵が増えていくと言うのは中々面白かったと思います。

キャラクター:
○ キャラクター設定はしっかりと

これはまた難しい話であるが主人公サイドのキャラクター設定を本気作で作るなら当然終始統一させたほうがよいと思われます。 作者自身もつっこんでましたが最後の方になって熱血キャラになったり個性がなかったりといった突発的な豹変は何かしらの背景があるなら別だが、 ない方が望ましいだろうと思われる。

システム:
○ 触ったらアイテムなど取得

これは良いシステムだと思われる。取って欲しいアイテム、取ると良いアイテムがわりと高確率で手に入ったり 謎の情報がわかるなどにも使えるのでよいと思う。

この場を借りてのバグ報告

  • 四天王ギガスの部屋の右かわにある上のタンスにはいれる
  • 魔物が侵攻してきたシーン
    ライウィス王「魔物が数を減らした事でで慢心していた」
    →「魔物が数を減らした事で慢心していた」
  • 塔の落とし穴(1Fの宝箱に行く所)におちるとHP全開(バグ?)


彰秀

私はこの作品を15分しかプレイしておりません。なぜなら、あまりの脚本の酷さに胃がキリキリと痛み始め、 穴が開く可能性があったからです。ドクターストップなのです。

どの辺りが酷いか厳密に書いていく必要性もないぐらい酷く、さらにオープニングのテロップは読めないほど早い。 まるで、読むことを否定するかのような速さ。それは、プレイすることさえ否定するかのようだ。まぁ、それはこちらの妄想としても、 とにかくやってられません。

最低でも小説を30冊、映画を字幕で1本観てから全面的に書き直してください。そして、練習作を送りつけるな。 そんな予防線を張った作品を真剣にプレイし、レビューするほど私は暇ではありません。厚顔無恥。


微風

今回はPCが破壊したためお休みさせていただきます。


DNA
▼プレイ概要
プレイ時間:4〜5時間
状況:2パターンのエンディング済み

▼はじめに

様々なギミックに満ちた作品。ダンジョンの仕掛け。イベント戦闘。そのレベルは高く、 制作者のアイデアと、そのアイデアを実現する技術力は素晴らしいと思った。こういったプレイヤーの脳みそを刺激する要素は ゲームがゲームとしてあるためには必要なのかなと思う。

▼面白さの分析

目についたのは以下の通り。

  • MOTHER式HP表示
  • 豊富なギミック

この二点について考察してみる。

▼面白さの分析:MOTHER式HP表示

FFのよーなゲージ式の戦闘システムは戦闘開始直後に「何もできない時間が発生」 するためテンポを崩しているよーな感じがして好きではないのだが、 時間の経過がゲーム性になんらかの影響を与えているのであればOKと思っている。 「魔法の詠唱(特技の使用)に時間がかかる」「もたもたしていたら損害が大きくなる」などなどだ。 この作品ではHPの減少がMOTHER式で行われるためゲージ式を採用する意味がある。 また使用する技によって次ターンまでの必要時間が変化するのも面白い。 (これがあまり強調された演出がないため地味になってる点が惜しい。)

残念な事に、私はプレイ時に全員がヒールリングを付けていたでの「あぁ。死んぢゃう。早くしないとッ!」 なんてシチュエーションには陥らなかったのだが、一箇所ぐらいピンチを演出するために、 このようなシチュエーションがあってもいいんぢゃあないかなぁと思った。MOTHER式のHP表示は、 こういったピンチ時にHP1で止まるとか全滅をギリギリ防ぐといった演出で光ると思う。 そして、それは「あぁ。俺ってゲームしてるぜッ!感」を演出することにつながるんぢゃあなかろーか。

▼面白さの分析:豊富なギミック

凝ってる。この一言に尽きる。各種ギミックはプレイヤーの頭を使わせるので、それだけで 「ゲームしてる感」を刺激できると思う。まープレイヤーが「ゲームしてる感」を求めていないのであれば 煩わしいだけで逆効果なんだろーが、例えシナリオ重視であっても、少なからずゲームの部分を期待している(と思いたい)はずなので 制作者側としては知恵を絞り時間と労力をかける部分だと考える。最近目立つ「制作者<プレイヤー」という図式ではなく 「制作者>プレイヤー」となる貴重な要素だと思う。以後もこの調子でアグレッシブにギミックに凝って欲しい。

いくつかの難易度の高い(あるいは手間のかかる)ギミックにショートカットが用意されているのが少し気になったのだけど、 これは「めんどうくさい。ゴミ箱へぽい。」という悲しい現実がそうさせたのだろうと思う。しかしながら、 こういった救済措置は悪循環を生んでいると考える。「ギミックをクリアできない(障害発生)」→ 「やーめた(諦め)」→「それは困る。もっと先に進んでくれ。(媚び)」→「らくちんらくちん(障害スルー)」 どうだろう。極端な例かもしれないが、これでプレイヤーの魂を揺さぶれるのだろうか。 最善の策はショートカットの用意ではなくプレイヤーに「どんなことがあっても先に進めたい」と思わせることではなかろーか。 「それは困る。もっと先に進んでくれ。」というのは制作者側のオナニーにすぎないのだ。 プレイヤーを甘やかして最後までプレイしてもらっても、それではプレイヤーの記憶には残らない。 ただ消費されるだけだ。この辺を意識すればより質の高い作品を生み出せるのではないかと思う。 (まー口で言うのは簡単なんだけど、難しいんだこれが。永遠の課題になりそうだ。)

▼おわりに

もの凄く凝った作りになっているんだけど、なんだろう。得体の知れない「制作者サイドの諦め感」のよーなものが感じられた。 具体的に示せないので申し訳ないが、そう感じたのは事実だ。この奇妙な感覚が次回作では払拭されていることを期待します。

以上でした♪ヽ(゜−゜)ノ


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