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◆第5回 Up&Down

Up&Down
【タイトル】
Up&Down
【開発環境】
RPGツクールXP
【作者】
Albert
【作品公開ページ】
こちら→

ロールプレイングアクションRPGサウンドノベル
アクションシミュレーションパズル・テーブル
シューティングレース・スポーツその他
【作品紹介】
-3〜+3の足し算と引き算だけで構成されたパズルゲームです。
シンプルなルールなのでとっつきやすく、気軽に楽しめます。
強引なストーリー展開にもご期待ください。(ぇ
(作者)

【レビュー】

風見鳥

なんて大きなノートPC。扉の横幅ほどもある大画面ノートPCは、凄まじい。

今回はツクールの林初のパズルゲーム作品であり、初のツクールXP作品でもありました。

ストーリーはオマケチックですが今回はパズル主体なので言及致しません、ご了承ください。

レビューにあたり、「面白いパズルゲームとは?」を考える必要がありました。パズルゲームとは一種の脳の体操であって、 個人の思考回路にも左右されるので、ここがこうであれば面白い、と決定付けることはなかなか難しいことです。 しかし歴代の殿堂に並ぶ作品を見ていくと、いくつかの共通点を見出すことができます。

1.ルールがスマートであること

ルールが複雑化すると、考えるだけで混乱を招いてしまいます。 これは、将棋のように先を何手か読むことに時間をかけるような場合を指しているわけではありません。 もし、将棋の駒が「右に一つ移動した次の手は上に二つ進み、そのあとは左か右のどちらかに1つ進むか後ろに二つ戻る」 というような動き方では戦略を練るだけで頭がいっぱいです。頭の直感的なひらめきを活かすには、無用なルール(や条件)を追加せず、 ルールがスマートであることが重要に思えます。

2.プレイヤーが成長を実感できること

これはRPGでも一つの大きな鍵となってくる事かもしれませんが、鍛錬を積み重ねるにつれて、 はじめはできなかったものができるようになった!とプレイヤーに実感させることができれば、 一つの楽しみとなるでしょう。

3.インターフェイスが直感的に使いやすいこと

操作がしにくいと、命取りです。1の直感的なひらめきと関係しますが、 操作感はシンプルで捉えやすいものが良いでしょう。

4.派手

これは2のオプション的な条件ですが、プレイヤーにできた!と感じさせる時は、 派手なアクションがかなり有効に思えます。ブロック崩しなどでも、単に音も無く消えていくよりは、 爆発したりして派手に決まったほうが実感が湧きやすいものです。ただし、ピクロスやクロスワードパズルなど、 じっくり考える必要があるものは、あまりうるさすぎるのも良くないかもしれません。


私が思い当たったのはこのくらいです。1と3については、このゲームはなかなかよく出来ていると感じました。 得点を減らすか増やすかのパネルを踏んでいき、目標にあわせるスマートさ。 パネルも色分けされており、カーソルキーで操作できるので直感的です。欲を言うなら、 パネルの濃淡(赤・ピンク等)をもう少しはっきりとつけたほうが良かったかもしれません。

しかしながら、パズルゲームとしてプレイしてみると「◇何か引っかかる……」という感触がどうもぬぐえませんでした。 4の派手、というのは補足的なものなのですが、2の成長を実感できるようなシステムになっているか、 というところが少し悩ましい。このゲームシステムにおける弱点は――時間制限があるため、とにかく早くクリアしたほうが良い。 一つのステージに、次のステージへと活かせる要素があまりないので、時間制限もあいまってあまり考えずに適当にやりがちである。 そして適当にやっても、なんとかなるステージもあり、複数回トライしてもゲームオーバーにはならず、 答えのルートもいまいち明白にならない――といった悪循環です。

よくよく考えてみると、この手のパズルゲームで時間制限を設けてあるものは少ないように思えます。 ストーリー進行上、各ステージに得点を設けねばなりません。単純に別のシステムを考えれば、 手数が少ないと高得点、というものが挙げられます。しかしながら、 ステージにもよりけりですがクリアルートがほぼ一つしかないものもあります。 これでは手数に差がつかない。しかし、時間制限は人にもよりますがどうしても「適当さ」でカバーしてしまう部分を生んでしまいます。 その分「じっくりさ」は多少なりとも犠牲となります。そして、何よりも駆け引き的な感触が失われてスリルがありません。 これも「適当さ」に拍車をかけているように思えます。

非常に難しいところですが、個人的な考えとしては、もっとルートを多く、時間制限なく、 じっくりと考えられるほうがよいかなと思います。時間制限だと、計算の速さに個人差があるため、 どうしても成績が伸びる人と伸びない人が出てきてしまいます。ほとんどのステージが正方形という縛りがありましたが、 もっと複雑な形にしたり、移動も斜めが可能だったり、ジャンプが可能だったり、 といった柔軟性を持たせることによってルートを多く確保できるような気がします。 このあたりがパズルゲームを作る際の難しさだと思いますが、もし次回またパズルにトライすることがあれば、 参考にしていただければ幸いです。

あとは補足ですが、まずツクールXPではRGSSを使ってパソコンマウスの入出力を検知することもできます。 こちら(http://tkool.web-ghost.net/wiki/wiki.cgi)などを参照してください。 カーソルキーによるカーソル移動だとぎこちない部分がありましたので、 参考までにどうぞ。それからBGMはデジファミ音楽堂の古い時期のものがあって、 私はプレイしていて懐かしい感じがしました。これも作戦でしょうか。


川ノ道

なかなか愉快なパズルゲームでした。 パズルをやる!という動機が受験の為であると明確に決まっているので「なんでパズルやねん!」という斬新な教育システムに対する反発以外は すんなりとゲームに入っていくことができ非常によいと思います。時間もわりと短く、さくさくと導入したのもよかったのかもしれません。 そういった受験を元にしたストーリー、パズルなりの合間合間のストーリーですが色々と面白かった。 くじ引きで大どんでん返しでおちるっていいですね!
「う!突然腹が!」
みたいに突然主人公がトイレに駆け込み次の日になったり、素晴らしく強引な展開です。

この、う!、という所や各場所での主人公の叫びの所ではう!といったものやうおおおおおおお!のような効果音が部分的に入るのも面白いです。 ただ、本当になんで行き成りトイレに駆け込むのかはわかりませんでした。日付の概念があるようなので、 突然の急病に試験当日まで寝ていることになった!やべぇ!てな感じをだしたかったのでしょうか?あるいはノリでしょうか。

強引なストーリー展開と作者も言ってますが、強引なストーリー展開はOKだと思います。今回では短い話、 パズルのサブみたいな位置づけなのでむしろ強引さはよいスパイスになっているでしょう。 さらにスパイスを効かせる場合「伏線」を一つ張ってみると強引ながらも、こんなものが伏線になっているだと!?みたいな驚きと、 プレイヤーをゲームに誘う謎といった役割も果たしてくれるかと思います。当然、伏線の数が多くなるにつれて その回収の仕方に腕が要求されますので今回のような場合は1つでも十分だと思われます。

UP&DOWN2でのストーリーが1に比べて短すぎる感もあるので1に盛り込んだ何かを2に生かすというのも手でしょうか。 ちょっとストーリーが長くなってしまう可能性が高くなるのが難点かもしれませんが。

パズルに関してはそんなに思考を駆使して考えるものではないですがスピーディであり、 ドツボにはまるとそれなりに難解になったりもするのでよいのではないかと思います。 全体として適度なストレスを与える位の難易度、クリアー時間でよいのではないでしょうか。 個人的には解けるけど、さらに難易度をあげた、思考させるような問題などがあってもよいなぁと思いました。

音楽はそういったスピーディなものにあった選択がされていたようでよかったです。 RPGでいえばラスボス級のような感じでパズルを解く、というのも良い感じです。

システムとしてもゲームを繰り返ししてもらうようなEDでのリスタート機能や全部での採点結果がみれるのもよいですね。 結果が悪いと次やろうと思いましたやりました。またグラフィカルな面でもシンプルにまとまりよかったと思います。 ツクールXPということでゲーム内PCでのカーソル操作をマウスにするというのも面白いかもしれません。


彰秀

Up&Downは(株)エンターブレインが開催したコンテスト『ツクール魂2005』のU15部門(15歳以下)にて優秀賞を勝ち取り、 商品の30000円分の商品券をもぎ取ったパズルゲームである。 進学の祝いに貰った図書券をいかがわしい本の購入費用に充てたという話はよく聞くので、 もしかしたらこの作者も……!? などと邪推してみるが、 それも創作者の端くれとして思わずハンカチを噛みしめる悔しさからの妬みでしかないわけで……。

文章の使い回しはここまでにしておいてレビューに移ろう。

前述したとおり本作品はパズルゲームとなっている。故にここで説明するよりも作品をDLし、 プレイして貰った方が的確で確実で安心である。が、それだと放棄している気になるので簡単に説明する。 『だいたい一筆書き』と言ったところだろう。だいたいと曖昧なのはクリアルートが多分複数存在することからだ。

こんな感じで下準備は済んだわけだが正直言うことがあまりない。ゲーム部分に関してはシステムは完成しており、 チュートリアルもちゃんとあり文句はない。操作性もメニュー画面だけどうかな? と思うが、 演出の一環であると考えれば納得できるだろう。

ストーリーも冒頭は地味だと思ったが、バッドエンドの超展開はゲームボーイの倉庫番2の 「彼女が金持ちに心引かれてる。彼女を取り戻すため頑張って宇宙船買うぜ」とためを張るほどクレイジーでイカシてる。 パズルゲームでストーリーは正直どうでもいい。そのどうでもいいなかでとりあえずやっちゃいました。 的なでたらめさは素敵だ。これで尺が長かったら難だが。

と、ここで終わらせたい所だが、せめて1000文字ぐらい超えたいのでもうちょっと続く。

こんな感じでゲームシステムに関しては文句は無いのだが、強いて言えば画面デザインと演出の弱さが気にはなる。

画面デザインについてだが、簡単に言えば無駄な空間が多いと言うことだ。変に窮屈なのよりはましだと思うが、 パズル中の背景に各ブロックの説明ぐらいは表示してもいいんじゃないかと思った。

演出に関してはパズルゲームなので現状の物でも不足ということもないのだが、 プレイ意欲を向上、継続させるために何かしら欲しいところ。

ハードもタイトルも忘れたが、昔あったパズルゲームで何面かクリアすると魚拓が貰えるものがあった。 魚拓なんぞ貰ったところでまったく嬉しくないが。

あとはPC上でプレイしていると言う設定を活かし、ペルソナウェアのようなものでも表示させ、ゲームの進行に合わせて
  「パズルと女はよく似ている……。どちらも複雑で解けた時の快感は言い表せない」
  「お前……これまで出会った男とは違うな。技術も、スピードも、戦略も、経験も、内蔵も、脳も、思考力も、知識も、なにもかも全部だ」
  「これで試験に落ちても親には“勝った”と言え。嘘を言うんだ。それがアメリカ式だ」
とか言ってくれたら最高だ。完全に俺の趣味だが。

……と、今回はこんな感じで。次は成人を迎えてから来てください。もっと実践的なアドバイスができると思います。


微風さんとDNAさんは激務のためお休みです。


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